講義中に行ったクイズの解答例です。生物・生態IIIA,Bクラスの別なく掲載しています。出題されていないクイズについても、重要ですから参考にしてください。
 

1回目
 
プルーフリーディング(校正)とは?
 
  リボゾーム上でmRNAの塩基配列に基づきアミノ酸を並べて行く時、少なからず読み間違えが生じている。これでは正しいタンパク質が生合成されない。そこでアミノ酸の並び方が正しいか否かを確認する作業。アミノ酸プールから正しいアミノ酸を運んでくる役目の tRNAが行っている。

2回目

(1)プリントNo.2、図4下のアミノ酸1〜4のカッコ内を埋めなさい。

   アミノ酸(1)イソロイシン
                 (2)アスパラギン酸
                 (3)グリシン
                 (4)プロリン


  
   
  
  

3回目

1. 遺伝子操作が可能な理由は?
 
     *核DNAは地球上の全生物で同じ遺伝暗号を持つ。
        つまり、異なる生物種でも同じ遺伝子からは同じタンパク質が合成される。
     *制限酵素など、遺伝子操作(遺伝子の切り張り)に
         必要な酵素類の発見と遺伝子の大量コピー法の開発(PCR法の開発)
 
2.シナプスとは?
 
   神経細胞間の連絡部分である。この部分は、細胞同士が接触しておらず、ごく僅かな間隙を形成している。この間隙に神経伝達物質(脳内物質)が放出され、外部の刺激が伝達される。
 
4回目
 
問題: ベクターとは何か。その働きと問題点。
 
解答例:
  ベクターとは、遺伝子組換え操作において、目的の遺伝子を細胞内に導入するために用いられる「遺伝子の運び屋」のこと。多くの場合、ウィルスが用いられている。
  ベクターとしてウィルスを用いることの問題点として、ウィルスが持つ病原性が挙げられる。ベクターとして用いる場合、病原性に関わる遺伝子は除去されなければならない。しかし時として、除去が不充分なウィルスが、遺伝子治療のベクターとして使用されていた例がある。  
   さらにウィルスの感染率も問題点として挙げられる。ウィルスであるからといって、すべての細胞に100%感染するわけではない。
  感染率が低いと遺伝子の導入率も低くなることから、遺伝子組換えは成功しない。感染率の高いウィルスが良いベクターといえるが、多くの場合、病原性の高いウィルスがこれに相当する。病原性が低く、感染率の高いウィルスが良いベクターとして求められている。
  以前は、マウス白血病ウィルスがよく用いられていたが、最近はアデノウィルスが用いられるようになった。

5回目

1.受精卵とES細胞との違いは?
 
  受精卵は全能性を持っており、細胞分裂を繰り返すことにより、個体を発生する。
 これに対して、ES細胞は全能性を持ってはいるが、そのままでは個体発生を行わない。細胞分裂を繰り返しても、ES細胞のままである。いろいろな臓器への分化誘導には、臓器に特有の成長因子が必要である。

2.受精後14日目までの受精卵を使った実験を許可している国がある。この時、なぜ14日目を境界とする根拠は何か?
  
  原始線条の形成が14日目付近で始まるからである。原始線条とは、中枢神経系の脊髄の原型である。個体発生は受精卵が16分割したところから既に始まっている。しかし、ヒトの機能的組織として最初に分化が始まるのは原始線条である。