1. 生命操作技術の基礎

 1−1.DNA、遺伝子とは?

  (1)DNAの構造を理解する……化学構造と立体構造(3次元構造)、染色体との関係

      4種類の塩基が、約30億個らせん状に組み合わさってできている。(図1参照)
      4種類の塩基:アデニン(A)/チミン(T)、グアニン(G)/シトシン(C)(図2参照)
      30億個の塩基一つ一つを文字にたとえる、つまり30億字とは28ページの新聞(朝刊)でざっと50年分に相当する。  
    ↓   
   遺伝子:ヒトでは全DNA(約30億塩基)の約5%に相当、残りはjunkDNA
        イントロンとエクソンの混在
    ↓
   染色体:ヒトでは46本:22対+XX(女性)、22対+XY(男性)

 (2)DNA、遺伝子、遺伝情報の各機能と関係を理解する

   (図3,4,5)(6参照)

    遺伝子:タンパク質を作るための設計図であり、DNAの約4,500万個の塩基に相当
    では、全遺伝子数は?……ヒトゲノム計画の結果、現在のところ約38,000種類と予測されている

       レトロウィルス,RNAウィルスでは、RNAも遺伝子となる
   
    遺伝情報:3塩基配列が一種類のアミノ酸に対応(図7参照)
    全塩基配列はアミノ酸(20種類)の種類と並び方に対応→タンパク質を決定
   
   情報の流れ: DNA→RNA→タンパク質;セントラルドグマ 

  (3)遺伝子解読計画(ヒトゲノム計画)

      DNAの塩基配列はほぼ決定された⇒遺伝子の解読は2003年までに完了
       ただし、民間ベンチャー企業(セレラ・ジェノミクス社)は、
       38,000個が解読されたと発表(2001、2月)
     ヒト遺伝子解読での公的機関(米、欧、日)と民間ベンチャー企業との熾烈な競争
      →→ 新薬開発および遺伝性難病の治療をめぐる特許の取得競争

     **DNA塩基配列の解明と遺伝子解読との大いなる相違に注意

   現在、全遺伝子が解読されている生物は800種類以上;
   単細胞生物…500種類以上のウィルス、25種類以上の細菌類(大腸菌など)、酵母
   多細胞生物…線虫(C.エレガンス)、ショウジョウバエ、ヒト(ミトコンドリア、21番、
             22番染色体)、イネ、シロイヌナズナなど
    
   現在進行中は;ヒト、マウス、ラット、ゼブラフィッシュなどなど、

(4)核内DNAとミトコンドリアDNAとの関係

1−2.いろいろな遺伝子の発見

(1)遺伝病の原因遺伝子
   例えば、大腸ポリポーシス遺伝子;保持者は必ず大腸ガンを発症
       福山型筋ジストロフィー;日本人に特徴的、弥生時代に発生か?
       ハンチントン舞踏病;欧米人に特徴的

(2)人種、地域、環境に特異的な遺伝子;進化の過程で淘汰された遺伝子

  鎌状赤血球貧血症(赤血球をつくるタンパク質の異常);マラリア多発地帯(11番)
  サラセミア(赤血球をつくるタンパク質の欠損);地中海沿岸地域
  喘息の原因遺伝子;トリスタン・ダ・クンハ島(南大西洋の孤島で、住民の50%以上が    
           喘息、または喘息傾向と喘息罹患率が世界最高の地域)
  特定の白血病ウィルス抵抗性の遺伝子;パプア・ニューギニアのハガハイ族
  コレステロール分解能の高い遺伝子;イタリアの僻地、リモネ村

(3)体質、性格、好みも遺伝子か?

  肥満の遺伝子;脂質代謝異常に関わる遺伝子が、数種類既に発見されている(1,7,8番)
  攻撃性に関与する遺伝子;脳内物質をコントロールする遺伝子
     自閉症の遺伝子、
     ホモセクシュアルの遺伝子も存在か(X染色体上)?

(4)遺伝子のビジネス
    "遺伝子ハンター"の暗躍
    少数民族や孤島、僻地の住民の血液を採集、検査
        ⇒ 特殊な遺伝子の発見 ⇒ 新薬の開発

     遺伝子は特許対象か?……アメリカでの特許関連省庁の対応変遷