脳死判定の基準
人の死とは
“死”とは、不可逆(性)と定義する。
1. 生物学的死と臨床医学的死の違い
(1) 生物学的にみた“死”という現象の経時変化
個体としての統合的機能喪失 ; 意識の喪失
↓
個々の臓器の機能喪失; これ以降の進行は各臓器間で同期していない。各臓器の機能停止
↓ には時間差が存在⇒⇒脳死状態の創出**
↓
臓器を形成する細胞の機能喪失
↓
細胞の壊死 ; 構造の喪失
生物学的死とは,構造的不可逆を意味する。つまり、形がなくなること。
例えばその昔、人の死に際しては“殯(もがり)”の風習があった。→もがりの最中に生きかえる
ことを期待する?
(2)臨床医学的死の出現
最終状況まで放置できない社会の成立→どこかで“死”を判定し,事後処理(埋葬,火葬等)を行う。
どこで判定するか?その基準は?⇒⇒死の三徴候説 呼吸停止 の適用を認める。
心臓停止
脳機能停止
この段階は「形は残っているが、機能してはいない状態」。しかし,この取り決められた死の三徴候を、我々は経験と知識の集積により、容認、納得している。
↓↓
ここで死の判定が、構造的不可逆から機能的不可逆へと転換した。言いかえると、人の死を
構造死、器質死(生物学的死)から機能死(臨床医学的死)へと変換し、なおかつこれら二つの死を
同等なものと容認した。 殯
**脳死とは,呼吸停止から心臓停止までのわずかな時間差を、人工呼吸器と薬剤を武器にして
人工的に押し広げた状態ではないか?
2. 脳死判定基準解説 (1985年12月制定、厚生省脳死判定基準(いわゆる竹内基準)
**チェックポイント**
(1) 前提条件
(2) 除外例……6歳未満の小児、脳死と類似した症状
(3) 昏睡の程度,瞳孔の散大
(4) 脳幹反射(7種類)の消失
(5) 平坦脳波……脳波の示す意味とは
(6) 無呼吸テストの方法と実施時期
(7) (1)から(6)が確認された後の時間的経過:6時間の観察時間
アメリカで1978年に制定された“脳死の時間”
生後7日から2ヶ月以内 48時間
1歳未満 24時間
6歳未満 12時間
6歳以上 6時間
(8)竹内基準の問題点
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