中国武術とは

 中国武術は、日本では主に「カンフー」と呼ばれることが多くなりましたが、20年以上前には、一般的に「中国拳法」と呼ばれていました。私たち競技スポーツをしている者は、「中国武術」と呼んでいます。日本の国技である「相撲」のように、中国では、「中国武術」が国技です。「中国武術」は、広大な中国大陸、更にはその道を極め・Eス中国人(華僑を含む)の熱心な指導により広く海外へ伝播し、それぞれの地域又はその歴史的変遷を遂げそして発展し、様々な種類を数えます。それを画期的に広めたのは、やはりブルース・リー、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、サモ・ハンキンポー、ジェット・リーなどのカンフースターを初めとして、中国内外で広くその伝承に携わる先生方・そして競技スポーツとして活躍する方々です。

 数多くの種類の中国武術の中で、一般的にも知られているものは「カンフー」と呼ばれる部類の武術(アクション)でしょう。アクロバティックで素早い、連続のパンチや蹴り技を繰り出すカンフーのことです。
 これらの代表的なものとして、武術の名称としては、「長拳」、「南拳」とか、「八極拳」、「形意拳」などがあります。私たち愛知大学中国武術部では、主に「長拳」、一部が「南拳」を練習しています。

 「長拳」は、中国長江(またの名を揚子江ともいう)以北で広く伝播した拳法のエッセンスを体系づけて一連の型動作として組まれた武術です。いわゆる中国北方に伝わる様々な武術をミックスして作られたもので、特に多彩な足技に特徴があります。
 一方の「南拳」は名前のとおり、長江以南の地域で発展した多彩な手わざを中心とする様々な武術のエッセンスを取り出して編成された一連の型動作として組まれた武術です。

 昔、中国は度重なる戦乱を経験し、北方は乾燥し、広くなだらかな中原を馬で駆けて行きました。一方、長江以南は、日本のように雨が多く、特に米作を中心とする農耕が発達したので、水に恵まれ、水路が発達しました。人々の移動も大量に運搬可能な船舶に依存していました。
 中国では、「南船北馬」という言葉があるのはこういう背景があります。その地域性に根ざし、武術も「南拳北腿」という特徴があるといわるとおり、南方の武術には多彩な手技が発達しており、北方の武術には多彩な足技が特徴であるとれています。

 「中国武術」には他にも、「棍棒」の先に「刀」を付けた「大刀」、鎖と9本の鉄の棒を組み合わせた「九節鞭(くせつべん)」、3本の木製棒を鎖でつないだ「三節棍(さんせつこん)」、扇「武術扇(ぶじゅつせん)」などなど様々な武器術もあり、非常に多様な世界を構成しています。

 さて、一方で健康ブームを中心として、良く知られているものに、ゆっくりとした動作で、早朝に年配の方・ェ公園で行っている動きがあります。これは総称して「太極拳」と呼ばれています。八卦など東洋哲学の理論に基づいて体系付けられた「武術」の種類のひとつで、その流派は様々です。
 但し5大流派が有名で、創始者の姓を取ってネーミングされ、「陳式太極拳」、「楊式太極拳」、「孫式太極拳」、「呉式太極拳」、「武式太極拳」と呼ばれています。それぞれ独特な特徴を持った単なるゆっくりとした動作だけではなく、攻防を理論的に確立した「武術」です。

長拳
南拳
刀術
剣術
棍術
槍術