2班 発泡酒について

97J1479  宮田 美香

96J1381  水野 隆太

98J1038 池田 憲一郎 

98J1287 小栗 剛司

 

(仮)ビールの売上状況の比較

 

96年度ビール市場状況

 

国内総出荷量5億7252万ケース(1ケース大瓶20本)

前年対比0.9%

 

・キリン…シェア率44.4%(前年対比▲2.2%)

 キリンは年初に主力である「ラガー」をオール生化する事によってあえてアサヒの「ドライ」と同じ土俵に立って真正面から勝負を挑んだが「ラガー」の販売量は、1億5200万ケースと前年対比ほぼ横ばいとなった。宣伝広告費を「ラガー」につぎ込んだため、「一番搾り」が前年対比▲6%となった。

・ アサヒ…シェア率29.0%(前年対比3.0%)

「スーパードライ」が前年対比20%となった。出荷量1億4550万ケースということでこの年「ラガー」の出荷量にぐっと迫る事になる。夏の商戦ではトップブランドを奪取した。他のブランドでは「黒生」が目立った程度で「ドライ」一本やりだが、逆にその強さが出た。

・ サッポロ…シェア率18.3%(前年対比0.3%)

ビール自体は微減であったものの発泡酒「ドラフティー」が好調でシェアを支えた。この年「ドラフティー」1031万ケースと「黒ラベル」に次ぐ有力ブランドに成長した。

・ サントリー…シェア率6.6%(前年対比0.0%)

サッポロ同様発泡酒の好調に支えられる形となった。ビールは7.8%減となったが、「ホップス」を改良した「スーパーホップス」が好調で「ホップス」とあわせ1011万ケースを出荷し横ばいを維持した。

 

 

97年度ビール市場動向

国内総出荷量5億6655万ケース

前年対比▲1.0%

 

キリン…シェア率40.1%(前年対比▲4.3%)

キリンの主力ビール「ラガー」は前年対比▲12%「一番搾り」も▲5%となり、総出荷量は▲10.2%と二桁マイナスとなりこの年もシェア率ダウンとなった。

アサヒ…シェア率32.4%(前年対比3.4%)

主力のビールの「スーパードライ」が前年対比17%となりキリンの「ラガー」を抜いてトップブランドを獲得した。「ドライ」のアサヒ全体における出荷量に占める割合はこの年93%に達していたが「まだまだ伸びる余地がある」(同社)として実際に次年度シェアを伸ばした。

サッポロ…シェア率18.0%(前年対比▲0.3%)

サッポロは上位二者のシェア争いにあおりを受けた形でシェアを落とした。「黒ラベル」は広告において低温輸送、鮮度管理を打ち出したがシェアアップを狙ったが、出荷量は前年対比▲2.0%となった。一方「モルツ」は前年対比7.0%となった、発泡酒では「ドラフティー」前年対比9%で出荷量は1230万ケースとなった。

サントリー…シェア率18.0%(前年対比1.8%)

 発泡酒「スーパーホップス」の出荷量が前年対比のほぼ2倍の2004万ケースとなりシェア率アップを支えた。この結果ビールの出荷量に発砲酒の出荷量を加えた総市場における発泡酒の比率は6%弱となった。

 

 

98年度ビール市場動向

国内総出荷量5億6705万ケース

前年対比0.1%

 

・キリン…シェア率40.3%(前年対比0.1%)

「麒麟淡麗〈生〉」が98年2月に発売以来販売初年度から発泡酒市場の60%を占める存在になり「ラガー」と「一番搾り」の落ち込みを上回る牽引役となり、キリンの市場におけるシェアを前年対比から0.1%押し上げた。

 

・アサヒ…シェア率34.2%(前年対比1.8%)

主力の「スーパードライ」を前年の同社予告通りに出荷量を前年対比7.9%アップさせ、同社全体としても出荷量前年対比で5.6%とした

 

・サッポロ…シェア率8.6%(前年対比▲2.0%)

98年度はサッポロの一人負けという形になった「黒ラベル」の低迷に加え他の3社がビールや発泡酒で特色を出したのに対しサッポロは特色を生かしきれなかった。

 

・サントリー…シェア率8.6%(前年対比0.1%)

サントリーも発砲酒をリード役となった。主力の「モルツ」が振るわない中、「スーパーホップス」前年対比が2290万ケースで前年対比14.3%となり主力製品に成長した。

 

 

99年ビール市場動向

国内総出荷量5億6485万ケース

前年対比▲0.4%

 

・キリン…シェア率39.8%(前年対比▲0.5%)

キリンはシェア率が41年ぶりに40%割れとなってしまった。発砲酒「麒麟淡麗」は前年対比48.3%と好調。しかし主力の「ラガー」が前年対比▲13.9%で出荷数が9594万ケースと、32年ぶりの1億ケース割れとなった。「一番搾り」も前年対比で▲6.8%と低迷したのが響き前年割れとなった。

 

・アサヒ…シェア率35.2%(前年対比1.0%)

主力の「スーパードライ」が前年対比2.0%アップと堅調。アサヒ全体の出荷数量は前年対比2.4%で首位のキリンとの差を縮めた。

 

・サッポロ…シェア率15.1%(前年対比▲0.9%)

主力ビールの「黒ラベル」の不振でサッポロ全体の総出荷数量は前年対比▲6.0%となった。

 

・サントリー…シェア率9.1%(前年対比0.5%)

主力ビールの「モルツ」は前年対比▲5.8%だったが99年6月発売の「マグナムドライ」がヒットしたのがシェア率アップに大きく寄与し99年はサントリーの

ビール・発泡酒事業としては過去最高の出荷数量となった。

 

 

全体の総括として1995〜2000年はビール市場ににとって大きな転換期となった。明確に数字の上で見えてくるのは以下の二点である。

  まずは、王者キリン「ラガー」の転落であり、もう一点は発泡酒事業の伸長である。それに加え販売形態、流通形態も大きく変化していった。消費者が大規模量販店に流れて、中小規模の酒販店から消費者がはなれていってしまったこのような販売形態の中で、アサヒビールは「ドライ」の拡販にあたって大規模量販店への営業に力を入れ広告にも力を入れ「ドライ」一本やりで主力のビール拡販に力を入れた。一方で中小規模の酒販店への営業に力を注いだキリンは出荷量を落としていった。キリンは新製品の拡販に力を入れずに新製品への転換を怠った事も伸び悩んだ原因と考えられる。

  一方1990年代に入ってからの不況による消費低迷から低価格志向となった、90年代前半は輸入ビール等の低価格ビールが一時的に出てきたがすぐに、発泡酒に人気を奪われてしまう結果となった。そして酒税法上有利な事等からメーカーも(アサヒ以外はほぼ一斉に)研究開発を進め、メーカーによってはそのメーカーの主力商品になっていったり主力ビールの出荷量減少を穴埋めするほどに販売量を伸ばすようになった。

  しかし問題点が無い訳ではない。ビールメーカー各社のビール事業は年を追う毎に減収減益を続けている。原因は私が分析するに、絶対的なビールおよび発泡酒の消費量停滞に加え、発泡酒自体が取れる利益がビールによって得られる利益より低いのではということが考えられる。ビールを作るためのコストも、発泡酒を作るためのコストも私は解らないが、1ケースあたり5円も10円もかかるまい。メーカーが最初の問屋に卸す際どの程度の価格で取引きされているかも解らないがいくら税率が低いといっても。相当分出荷数量が増加しない限り増益という事にはならない。むしろ酒税法が改正されたらかなりの減収を見込まざるを得ない。

  以上の事を踏まえ少ないデータからであるがビール各社が21世紀生き残っていく道というものを私なりに考えてみた。

 

・キリンビール…新しい主力ビールを開発し、入れ替えを行い新しいキリンビールのイメージを消費者に与える。おそらくアサヒの「ドライ」と同じ土俵で争っている限りは近いうちにビール・発泡酒業界首位を奪われてしまうのは時間の問題である。売れないビールを徹底的に見直し、発泡酒に関してはしばらく好調な「麒麟淡麗〈生〉」を現状維持で販売量を伸ばせば首位キープも可能だと思う。

 

・アサヒビール…発泡酒がうまくいかない場合はすぐに撤退し「スーパードライ」の拡販に力を注いだ方が良いと思う。後々「スーパードライ」の販売数に影響しかねないと考える。

 

・サッポロビール…サッポロビールもキリンと同様に主力ビールを見直す必要があるように思う。現在の主力ビールである「黒ラベル」に一層のてこ入れを行い販売数を伸ばし、足りない部分を発泡酒の販売で補っていくと良いように思う。ただし今はビールも発泡酒も中途半端。

 

・サントリー…「モルツ」の不振が続くようであればいっそ「マグナムドライ」に特化してしまっても良い様に思う。カクテルやウイスキーの分野で強いメーカーなのでビールばかりに腐心する事も無い様に思う。

 

発泡酒について

 

1 酒税法について

 酒は、たばこと並んで最も代表的で特殊な嗜好品であるので、消費に係る税の課税対象として適切と考えられ、各国で古くから特別な税負担が求められてきている。  

わが国の酒税制度は、昭和28年度に酒税法の全文改定が行われ現行の酒税法が制定されて以来、幾多の変遷を辿り、平成元年度には清酒やウイスキー類の級別制度や従価税制度が廃止され、従量税率については負担水準の高い酒類について減税を図る一方、低税負担にとどめられていた酒類については増税を行うなど酒類間の税負担格差の縮小が図られた。

  平成6年度には、税負担の適正化などの観点からウイスキー類などを除き全般的な従量税率の引き上げが行われ、平成8年度には税負担の公平を確保するなどの観点から発泡酒の税率などについての見直しが行われた。

 

a.納税義務者および申告と納付

  酒税の納税義務者は、原則として酒類の製造者である。酒類の製造者は、毎月、製造場から移出した酒類の税率適用区分ごとの数量および酒税額などを記載した申告書を、翌月翌日までに所轄税務署長に提出して、翌々月末日までに納付する。輸入酒類については、保税地域から引き取る者が、引き取るまでにその酒類の税率適用区分ごとの数量や酒税額などを記載した申告書を所轄税関長に提出し、納付する。

 

b.課税物件

  酒税の課税対象となるものは、酒類、つまりアルコール分を1度以上含んでいる飲料である。ただし、アルコール分が90度以上のアルコールは、酒類の製造者が酒類の原料として製造したものを除いて酒税法の対象にならない。酒類はその原料、製造方法などにより、清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類、および雑酒の10酒類に分類され、さらに、焼酎や果実酒類等5種類の酒類については11品目に区分されている。

 

 

 

c.税率

  酒税の税率は、平成元年度前までは酒類の数量を課税標準として税額を算出する従量税率と価格を課税標準として税額を算出する従価税率が併用されていたが、平成元年度に従価税制度が廃止され、現在は従量税率のみとなっている。 

 

 

2 ビールと発泡酒の違い

 酒税法における酒類の種類、品目の分類の相違であり、使用原料、麦芽使用率の二面から定められている。

 酒税法上「ビール」に分類されるためには、使用できる原料は麦芽やホップ、米、とうもろこし、でんぷん等に限定されており、さらに、麦芽使用率が約67%以上でなければならない。

一方、「発泡酒」に分類されるのは、麦芽を原料の一部とした発泡性を有する酒類でビールとしては使用できない原料を使用した場合や、麦芽使用率67%未満の場合である。

  

3 ビール、発泡酒の動向と税制改正

 バブル崩壊後、輸入商品を中心に低価格化が進んだ、そのような状況でサントリーは94年10月に税額の安い発泡酒「ホップス」をビールより45円安い180円で売り出し、サッポロもドラフティーで発泡酒市場に参入した。これに対し大蔵省は平成8年度の税制改革で発泡酒の税率を引き上げた。

 その後も各メーカーから新製品が続々と発売され発泡酒はその市場を拡大したが、ビールの販売は落ち込み酒税収入も減少してしまった。そこで、大蔵省は再び発泡酒の税率引き上げを検討している

 

 

<メーカー側>

a. 税制の度重なる改正は、企業活動の前提である法的安定性 

を著しく阻害し企業活動に予見し得ない深刻な打撃を与える。

 

酒類メーカーにとって酒税は企業活動をなす最も重要な制度の一つである。94年10月に発売されたサントリーの「ホップス」は酒税法上の発泡酒とビールの税率の違いを活かして低価格を実現し、市場の評価を得るようになった。そのような状況で発泡酒に対する現在の税率体系が設定された。その後メーカーは、新たに開発した麦芽比率25%未満の発泡酒を主流として発泡酒市場の拡大を図った。

 

 

b.異なる酒類である発泡酒とビールの間に税格差があることには合理性がある。

 

発泡酒の商品特性、イメージは明らかにビールとは異なっており異なる酒類である。従って、ビールとの相応の税格差が設けられており、この税格差には合理性がある。今後も税格差を維持すべきである。この動きに対してメーカー側は断固反対の意思を表明している。

 

.発泡酒の増税は低価格の低アルコール酒類間の競争において消費者の選択を歪め、税制の中立の原則に反するものである。

 

 発泡酒の希望小売価格に占める酒税負担率は25%を超えており、他の低価格の低アルコールの酒類よりも高率となっており、税制の中立性が確保されているとは言い難い。

 発泡酒とビールとの間の税制の中立性を確保する為に増税を行うとすると、発泡酒と他の低価格の低アルコール酒類との間における中立性がそこなわれる。    

  

  <大蔵省>

 消費課税については、税制の中立性や公平性の観点から同種、同等のものには同様の負担を求めることが要請される。

 

わが国の酒税においては、酒類をきめ細かく分類し、各酒類の定義も複雑なものとなっている。このため、その適用にあたって、同様の商品でありながら、原料や製造方法の若干の違いによって分類が異なる結果になるといった問題があり、近時、そのような点に着目して税負担を低く抑えた低価格商品も多く見受けられる。           

<参考文献、参考サイト>

   わが国税制の現状と課題 21世紀に向けた国民の参加と選択

                   財団法人 大蔵財務協会

   発泡酒連絡協議会 Hello Happoshu!

               http://www.happoshu.com/


 

区分

 

基準アルコール分

1kl当たり税額(円)

アルコール分1度当たり税率(円)

清酒

 

15

140,500

9,367

合成清酒

 

15

79,300

5,287

焼酎

しょうちゅう甲類

25

248,100

9,924

 

しょうちゅう乙類

25

248,100

9,924

みりん

 

13.5

21,600

1,600

ビール

 

5

222,000

44,400

果実酒類

果実酒

12

56,500

4,708

 

甘味果実酒

12

98,600

8,217

ウイスキー類

ウイスキー

40

409,000

10,225

 

ブランデー

40

409,000

10,255

スピリッツ類

スピリッツ

37

367,188

9,924

 

原料用アルコール

37

367,188

9,924

リキュール類

 

12

119,088

9,924

雑酒

発泡酒(麦芽50%以上)

5

222,000

44,400

 

    (麦芽25〜50%未満)

5

152,700

30,540

 

    (その他)

5

105,000

21,000

 

粉末酒

 

320,500

 

 

その他の雑酒(みりん類似)

13.5

21,600

1,600

 

         (その他)

12

98,600

8,217

 

 

なぜ発泡酒が売れるのか?

 発泡酒が売れている要素は2つあるように思える。

@ビールに比べ、発泡酒は安い。それでいて、味にそんなに大差はない。Aグルメ、飽食の時代に適したスッキリ・サッパリとしていて、喉ごしもいいから。この二点を軸に話を進めていきたい。@は酒税の高いビールに比べ、発泡酒は酒税が安く、それが本体価格にも反映されている。(1.酒税について参照)バブル崩壊以降、景気が落ち込んでいる昨今、消費者は「少しでも安くてそれでいてビールとあまり風味が変わらない発泡酒」を好むようである。Aはグルメの時代になり、味が濃く、脂っぽいものが好まれるようになり、これらの料理にあうスッキリ・サッパリとした飲みものが好まれるようになった。

 

発泡酒でビールの味を再現できるのか?

 発泡酒を作ることは、従来は技術的に困難だと言われてきた。というのは、ビールの原料になる麦芽比率が少ない状態でビールを作るとビールの味わいに必要な酵母に負担がかかり、おいしさの面でビールより劣るといわれてきた。中には、「発泡酒は本当のビールじゃない」といわれてきた。つい最近、2月21日にアサヒビールが発泡酒をついに発表したが、それ以前は「発泡酒は本当のビールでないから消費者もそのうち飽きられビールをまた飲むでしょう。しばらくは発売しない」会社の方針であった。しかし、発泡酒市場がアサヒビールが思っていた以上に伸びているので、発売に踏み切ったようである。ここで、ビールの作る過程を簡単に説明したいと思う。

ビール・発泡酒を作るときに欠かせないのがビール麦を発酵させた麦芽である。この麦芽に含まれる酵素が麦のデンプンを糖分に変え、この糖分を酵母が食べてアルコールと炭酸ガスに変える。これでビールが出来上がる。ビールのうまさを決定するポイントになるのが酵母である。酵母には、それぞれ特有の香味特性があり、ビールごとに異なる味わいも、この酵母が決定づけている。酵母は生きていて、糖分は生きるための栄養源になる。さらに酵母が生きるために、タンパク質などその他の栄養が必要である.よって、ビールつくりではビールに含まれ酵母が元気に活動するための最適な麦芽の比率を見極めることがおいしいビールを作る秘訣であるといえる。

では、麦芽比率の低い発泡酒はどうなるか?わが国の主力商品の麦芽比率はいずれも25%未満である。このように麦芽比率の低い状態で発酵させると麦芽がすっかり消耗してしまう。酵母が栄養不足に陥りかねない。しかし、栄養状態が悪くとも酵母は必死に生き要する。つまり、強制的に働かせられるようなもので酵母の消耗度が激しい。過酷な条件で発酵を終えた酵母は疲労度が高く再使用が出来ない。このように、麦芽比率が低いと、ビールの味わいを引き出す酵母に過度の負担がかかり、麦芽比率の高いものに比べおいしさの面で劣ってしまうといわえる。

 このように、リスク高いのみものであるのに、なぜ消費者に支持されたのであろうか?材料の通常よりうまみ成分の多い麦芽を使用したり、副原料に大麦を使用したりして、安定した味を提供できたからではなかろうか。サッポロのブロイは、苦味のうまみのもとになるホップには、アロマホップが使われている。アロマホップには、神経鎮静作用があるといわれる。今では、発泡酒売り上げ1位のキリン淡麗生は副原料に大麦を使用し、消費者に「ビールと変わらない味だ」と支持されている。今では、キリンの主力商品のビールであるラガー、一番搾りの売り上げを落とし、淡麗生の売り上げが多いという「ガニバリゼーション」を起こしている。ラガー、一番搾りの売り上げダウンを淡麗生がカヴァーしている。

 発泡酒が消費者に支持される要素の一つに「スッキリ・サッパリとしていて、喉ごしもいいから。」と冒頭にも述べた。

この流れは今に始まったことでない。遡ってみると、1984年頃

酎ハイブームがが頂点に達した。若い人を中心に甲類焼酎に炭酸を割って飲むことが流行した。酎ハイは炭酸水の刺激が非常に強いので、ビールの刺激とは一味違った「爽快な刺激」をもたらす。当時グルメブームであり、酎ハイは濃い味付けにあった飲み物として位置つけられていた。アサヒのスーパードライが「コクがあるのにキレがある」「もっとキレのよいビールもっと軽くてスッキリした味、辛口」をコンセプトに開発したが、その際にヒントにしたのが、この酎ハイブームであったと当時の開発担当者が述べている。軽くてすっきりした味わいにするには、副原料にスターチをたくさん使って酵母の分解を進める。こうして、アルコールと炭酸ガスに分解してゆくのだが、分解を進めていくとアルコール分が多くなり、サッパリ・スッキリ味になる。アルコール分解を進めすぎると、コクが失われ、水っぽいビールに出来上がる。時は流れ、キリンの淡麗生を開発した時、味は「ビールのへビーユーザーにも飲んでもらえる発泡酒」を目指した。こうして、淡麗生発売されるわけであるが、淡麗生の売り上げが、スーパードライの売り上げを食うという現象が起きた。淡麗生がスーパードライの喉ごしのよいスッキリとした味を彷彿させるからである。ビールより価格の安い発泡酒を買い求めるからであろう。キリンの関係者も、味の領域がスーパードライに似ていることを認めている。      

 

技術的にも難しい発泡酒が消費者にこんなに浸透したのは、各ビール会社が企業努力で独自の技術を確立し、味や風味を追求した結果であろう。キリンビールによると、消費者が発泡酒を買う動機として「本当はビールが欲しいのだが、発泡酒より高い。発泡酒は安いだけでなく、風味はビールと大差ないから」であるそうだ。私も、初めて発泡酒を飲んだのだが、ビールとそれほど味が変わらないと思った。一方、根っからのビール党の人は「発泡酒なんて、水っぽいから飲めたものでない」という感想を持つ人がいるのも事実である。発泡酒は、ただエコノミーな値段で支持されているだけでなく、おいしいからこそ発泡酒を買うのだなと思う。後、ビールと違い苦味の少ないのが支持される理由ではなかろうか。

発泡酒は副原料に制約がないので、商品としての可能性は大きいだろう。今後は、地域ごとの特色を生かした発泡酒が発売されるそうである。楽しみにしています。

 

 

 

★参考文献★

  新生キリンビールの反撃 山田泰造

  キリンビールの大逆襲  中村芳平

 

発泡酒の動き

全体の総括として1995〜2000年はビール市場にとって大きな転換期となった。明確に数字の上で見えてくるのは以下の二点である。

  まずは、王者キリン「ラガー」の転落であり、もう一点は発泡酒事業の伸長である。それに加え販売形態、流通形態も大きく変化していった。消費者が大規模量販店に流れて、中小規模の酒販店から消費者がはなれていってしまったこのような販売形態の中で、アサヒビールは「ドライ」の拡販にあたって大規模量販店への営業に力を入れ広告にも力を入れ「ドライ」一本やりで主力のビール拡販に力を入れた。一方で中小規模の酒販店への営業に力を注いだキリンは出荷量を落としていった。キリンは新製品の拡販に力を入れずに新製品への転換を怠った事も伸び悩んだ原因と考えられる。

  一方1990年代に入ってからの不況による消費低迷から低価格志向となった、90年代前半は輸入ビール等の低価格ビールが一時的に出てきたがすぐに、発泡酒に人気を奪われてしまう結果となった。そして酒税法上有利な事等からメーカーも(アサヒ以外はほぼ一斉に)研究開発を進め、メーカーによってはそのメーカーの主力商品になっていったり主力ビールの出荷量減少を穴埋めするほどに販売量を伸ばすようになった。

  しかし問題点が無い訳ではない。ビールメーカー各社のビール事業は年を追う毎に減収減益を続けている。原因は私が分析するに、絶対的なビールおよび発泡酒の消費量停滞に加え、発泡酒自体が取れる利益がビールによって得られる利益より低いのではということが考えられる。ビールを作るためのコストも、発泡酒を作るためのコストも私は解らないが、1ケースあたり5円も10円もかかるまい。メーカーが最初の問屋に卸す際どの程度の価格で取引きされているかも解らないがいくら税率が低いといっても。相当分出荷数量が増加しない限り増益という事にはならない。むしろ酒税法が改正されたらかなりの減収を見込まざるを得ない。

  以上の事を踏まえ少ないデータからであるがビール各社が21世紀生き残っていく道というものを私なりに考えてみた。

 

・キリンビール…新しい主力ビールを開発し、入れ替えを行い新しいキリンビールのイメージを消費者に与える。おそらくアサヒの「ドライ」と同じ土俵で争っている限りは近いうちにビール・発泡酒業界首位を奪われてしまうのは時間の問題である。売れないビールを徹底的に見直し、発泡酒に関してはしばらく好調な「麒麟淡麗〈生〉」を現状維持で販売量を伸ばせば首位キープも可能だと思う。

 

・アサヒビール…発泡酒がうまくいかない場合はすぐに撤退し「スーパードライ」の拡販に力を注いだ方が良いと思う。後々「スーパードライ」の販売数に影響しかねないと考える。

 

・サッポロビール…サッポロビールもキリンと同様に主力ビールを見直す必要があるように思う。現在の主力ビールである「黒ラベル」に一層のてこ入れを行い販売数を伸ばし、足りない部分を発泡酒の販売で補っていくと良いように思う。ただし今はビールも発泡酒も中途半端。

 

・サントリー…「モルツ」の不振が続くようであればいっそ「マグナムドライ」に特化してしまっても良い様に思う。カクテルやウイスキーの分野で強いメーカーなのでビールばかりに腐心する事も無い様に思う。

 Twenty-two points, plus triple-word-score, plus fifty points for using all my letters.  Game's over.  I'm outta here.