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巻頭言「総合ゼミの課題と現状」
功刀由紀子先生
総合ゼミが新規開講されて4年が経過した。新設の4年制大学であれば、初めての卒業生を送り出すことになる。
総合ゼミの場合、受講が2年生以上のため、功刀総合ゼミが本格的に卒業生を送り出したのは、昨年の第三期生からである。そのような経緯で、この「功刀総合ゼミ小論文集」も、昨年から発刊されるようになった。
そもそも総合ゼミとはどのようなゼミなのか、いささか説明を要するであろう。専門ゼミとは異なり、共通選択科目としてのゼミであり、所謂“一般教育”のゼミ、さらに学生の言葉を借りると“パンキョウー”のゼミ、となるわけである。それゆえ、所属学部の異なる学生が、同じゼミを受講することが可能となる。この点が、総合ゼミと専門ゼミとの決定的な相違であり、また総合ゼミの最大の特色でもある。そこで、この特色を最大限に生かすことのできるゼミ運営が課題となってくる。
功刀総合ゼミは開設以来、学習目標として「自分の足で体験し」、「自分の頭で考え」、「自分の言葉で発表する」、ことを掲げてきた。さらに、「他者との協調」も重要な学習目標とした。
そして、これらの目標を達成するために、生命、環境をメインテーマとする各種社会問題を学習対象として取り上げ、ゼミ生自らがグループ活動を通し「足、頭、言葉」を使って調査、分析、発表を実践した。
功刀総合ゼミでグループ活動を重視した理由は、ゼミ生各自が得意
分野を生かした役割分担に基づき、グループ内における共同作業を通して、「他者との協調」と「自己の主張」とのバランスを学ぶことにある。
当ゼミでは、ゼミ生の自主性を高めるために、テーマ設定からゼミ行事に至るまで、全てをゼミ生に任せ、ゼミ運営の主体としての自覚を持たせた。
本小論文集は、上記学習目標の達成度を示す一つの目安になるであろう。総合ゼミと専門ゼミの二つのゼミをこなし、社会学が専門でもないゼミ生が達成感を持ちつつ頑張るさまを、どのように評価するかは今後の課題である。