中国問題定例講演会
第12回
〈講師・テーマ〉
藤森猛 愛知大学現代中国学部助教授「中国の映画産業と娯楽文化市場」
   中国におけるすべての文化・芸術事業は、「二為」の方向・「双百」の方針を前提としており、大衆娯楽産業の中心である映画産業は、80年代以降、国家の「文化部」あるいは「広播電影電視部」・「中影公司」の指導のもとに製作・配給・放映を担う国有企業・国家機関が発展をとげた。90年代以降、国有企業改革の中で、娯楽文化市場が急速に自由化される中で、映画産業は国家による映画配給体制が取り消され、テレビ事業など他の娯楽・サービス産業とともに再編の道を模索している。第三次産業の中で最も大きな変貌をとげようとしている映画産業を核に、改革開放以後の中国娯楽産業の現状を分析する。
〈講師・テーマ〉
李春利 愛知大学経済学部助教授「中国自動車産業の最新動向と中部経済」
 2001年夏、約5週間にわたり、中国の自動車とオートバイ産業をひと通り見て回り、約30社の企業訪問を行った。これまで中国の乗用車生産では上海VWは圧倒的な強さを持っていたが、この夏の訪中で上海VWとともに、GMが非常に元気がいいという印象を持った。上海GMは15億ドルを投資して上海浦東地区に組立工場を建設し、ビュイックを製造している。上海GMの浦東工場は中国全土においても単独企業として最大のプロジェクトであり、中米経済協力のシンボリックな存在となっている。今回、最も印象深かったのは、ホンダの中国事業である。とりわけ広州ホンダは、1999年に生産開始したが、アコードが爆発的にヒットし、非常に高い車なのに供給が追いつかないくらいの状況である。この勢いで2002年3月にはオデッセイの追加投入が決まっており、次には中国政府が小型車を奨励していることを受けて、シティベースのアジアカーもしくはフィットを投入する噂もされている。その他、自動車部品産業の動向、ホンダの2輪事業、トヨタグループの事業展開やWTO加盟の影響などについて詳しく紹介したい。