中国問題定例講演会
第2回
〈講師・テーマ〉
丸山伸郎 愛知大学現代中国学部教授 「中国の産業構造調整の方向」
  90年代半ば、中国の国有企業は大きな経営赤字を抱え困難に陥っているが、その背景には中国の産業構造が転換を迫られていることがある。供給力を確保するため老朽化設備をも抱え込み、同一製品を長年にわたって生産し続けてきた計画経済の時代は終わり、今や供給力過剰と厳しい市場競争の到来の中で、老朽化産業の淘汰と国際競争力を持った産業の育成は不可欠な課題となっている。この厳しい試練に中国は耐えられるであろうか。
〈講師・テーマ〉
高橋五郎 愛知大学現代中国学部教授 「中国の農業・食糧問題」
 21世紀、人類はかってない食糧危機に直面する、との見方が大勢を占めている。しかし、これは真実ではない。危機論者は環境生態系の悪化・人口の爆発的増加を理由にするが、地球上には有り余る優良な農地資源が眠っている。部族・民族対立(たとえばサハラ以南アフリカやユーゴ)と巨大な穀物メジャーの戦略、適正技術の普及の遅れ、歪んだ価格政策が最大の理由であり、すべて解決可能なことばかりである。やがて世界の食糧生産は、より深刻な過剰な時代に直面しよう。中国は世界の食糧市場を支配しようとする穀物メジャーの戦略によって「巨大な食糧不足国」として喧伝され続けるだろうが、むしろ過剰な時代が迫っている。過剰時代における、中国での食糧ビジネスのあり方を探る。