中国問題定例講演会
第5回
〈講師・テーマ〉
古森利貞 愛知大学現代中国学部教授 「日中関係の現状と展望」
  日中関係を長期・安定的に良好に保つことは、我が国の繁栄と安全保障にとって極めて重要である。新中国成立以来の50年を振り返ると中国との関係は幾多の紆余曲折を経てきた。日中関係は現在基本的には安定しているものの問題が伏在している。その背景には、他の国との関係にはない独特の難しさがある。中国も日本も変革の只中にあり、21世紀には両国の状況は変化しそれが両国関係にも影響しようが、「強・大・一流」を志向しながら国内に幾多の問題を抱える中国の将来像に寧ろ不透明の点が少なくない。いずれにせよ今後の日中関係は必ずしも楽観できず慎重な対応が肝要であろう。
〈講師・テーマ〉
渡辺浩平 現愛知大学代中国学部専任講師 「中国消費事情」
 1990年代半ば、過熱していた都市部の消費は、アジア金融危機以来冷却状態、物価は20ヶ月以上のマイナス、生鮮食料品から家電製品に至るまで、軒並み価格を下げている。一方、国有企業、保険、教育、住宅などの構造改革による今後の出費を見越して、個人貯蓄は激増しており、相次ぐ利下げにもかかわらず消費が好転する気配は薄い。同時に、市場経済化により所得の格差が開き、高額の消費が享受できる新たな購買層が生まれ、消費の質が変化している。中国都市部の消費動向をまとめ、今後の動きを予測してみる。