中国問題定例講演会
第7回
〈講師・テーマ〉
皮細庚 愛知大学現代中国学部特任教授 「北京人・上海人・広東人」
   地域的カルチャショックという角度から本題の議論を展開する。  北京人:思考のスケールが大きい。豪快かつ正直。客好きと人助け好き。プライドが高く国粋的。生活や仕事に無頓着な面がある。「独断的で協調性が足りない」、「外地人を君臨的態度で見る」。上海人:中国経済の大黒柱を築く。外来文化の吸収が早い。仕事と生活を小心よくよく能率的に営む。冷静で冷たいぐらい。実利的に動く。「外地人を田舎者と見る」、「計算がよくて歯がゆい」。広東人:そこの気候に似てとても情熱的、善意的。仕事も商談も速攻的。海外文化の吸収も熱心で、海外へ出ることが更に積極的。商売がうまい。遊び好き。短視的。「外地人を貧乏人と見る」。「我利我欲至上」。
〈講師・テーマ〉
丸山伸郎 愛知大学現代中国学部教授 「抑制型転換期の中国」
 2000年1・4半期の中国経済の実績はGDP8.1%増と久しぶりに活力を取り戻したようにみえる。国有企業の経営赤字も減少し、黒字転換した産業もあると報じられている。しかしこうした好調の背景には、政府の大々的な介入があり、市場競争の結果ではない。小型国有企業の民営化、私有化は地方において公然と行なわれているが、大型国有企業の集団化には行政がからみ、問題が多い。しかし企業の倒産が続いており、失業率は上昇傾向にある。これに神経を使う江沢民政権はイデオロギー的統制を強め、私有化を禁句とするなど知識人への圧力を強めており、これが改革派との関係を微妙にしている。改革の行方、さらに産業構造の調整の行方を探る。