中国問題定例講演会
第8回
〈講師・テーマ〉
加々美光行 愛知大学現代中国学部教授「東アジア情勢の変遷と中国内外政治のゆくえ」
   本年3月の台湾総統選挙、5月の新総統就任、さらに6月の南北朝鮮朝鮮首脳会談の実現といった一連の東アジア情勢の新動向を受けて、中国政治に変化の兆しが現われつつある。問題はこの変化が指導部内に新たな政策論争を巻き起こし、ひいては中国の政局を不安定なものにする可能性も含んでいるという点にある。このところ党内論争において左派の攻勢が目立っている。一面ではそれを高度成長の持続にもかかわらず、依然金融改革、国有企業改革、行政改革の三大改革が順調に推移してないために生じているじている国内矛盾を反映したものである。しかしそれは中国の対米、対日外交戦略に対する批判をも連動的に呼び起こしている。中国政治がどこに向かおうとしているかを考える。
〈講師・テーマ〉
河辺一郎 愛知大学現代中国学部専任講師「台湾の国連加盟問題から見る中国外交」
 60年代、国連における中国代表権問題が中台の間で争われた。当時の中国は第3世界重視の外交を展開し、先進国はその国連登場を警戒していたが、71年に国連から台湾が追放され中国が議席を獲得した後は、中国の行動はむしろ先進国よりのものとなった。第3世界はその期待を裏切られることになる。  台湾の民衆化とともにその国連再加盟問題が浮上する。しかし60年代とは異なり、これは先進国を巻き込む問題とはなっていない。むしろ開発途上国が台湾側に立っている。この背景は何か、そしてここから中国外交(政治)のどのような特質が見えるのかを考える。