中国問題定例講演会
第9回
〈講師・テーマ〉
嶋倉民生 愛知大学現代中国学部教授「中国の東西問題と南北問題」
   東西格差の存在とその是正の必要性つまり「西部大開発」というのは中国の歴史始まって以来の悠久の課題」である。沿海部の南北格差の拡大は当面する政治・経 済の課題である。沿海北部の南部に対する立ち遅れに我々は留意してようだろう。
〈講師・テーマ〉
馬場毅 愛知大学現代中国学部教授「中国の社会―秘密結社と黒社会―」
 20世紀前半の中国近代史において、中国の庶民は革命と戦争という激動の時代を生き抜いて生活するために、彼らは多くのネットワークをはり、その中で特に重要なのは血縁、地縁、同一の職業による業縁のほかに、秘密結社であった。青幇、紅(洪)幇、紅槍会、一貫道等の秘密結社が多くの人々の相互扶助組織として勢力を振るったのが、日本と異なる中国社会の特徴といえよう。これらは人民共和国成立以後、弾圧され姿を消した。だが「開放と改革」が進む中で、80年代半ば以後、新たに「黒社会」と呼ばれる犯罪組織が登場し、その中の一部は秘密結社化するとともに、かつての秘密結社の復活も伝えられる。そこでかつての秘密結社と対比して現在の「黒社会」の問題を考え、そこから見られる中国社会の特色を考えたい。