3.生殖技術革命……現状と未来

 

3−1.生殖技術発展の歴史、およびそれらに対する見解の変遷

3−2.人工授精; AIH、AID

  日本では1945年から慶応大学医学部にてAID実施、1949年初めての出生  
       マラリアに感染した従軍兵士の不妊治療として始まる

   生物学的問題点 → 同一ドナーの精子を何回用いるか?
      →フランスの生命倫理法(1994年制定)では、5回が上限

社会的問題点  → 子供の出自の認識、情報公開あるいは非公開

   法的問題点   → 民法における親子の定義からの乖離

3−3. 体外受精

      第一号はイギリスで1978年7月に誕生(ルイーズちゃん)
    
    *生物学的(技術的)問題点

     a.受精卵、精子、卵子の保存法
       受精卵……凍結保存(―198℃、液体窒素中で保存)
         法的保存期間;5年間、イギリスでは1996年に5年間から10年間に延長
       精子……凍結保存、凍結乾燥保存(粉末)が成功か?   
         法的保存期間の制限なし → 精子バンクの存在
       卵子……凍結保存の可能性ありか?(松本レディースクリニックの報告)
  
     b.卵子の調製
        胎児からの卵子調製技術の開発(イギリス)がマウスで成功(1992)
          胎児卵子の利用→受精→出生⇒子供にとって母親は存在しない

        卵子の若返り法; 若い卵子の細胞質を注入→ミトコンドリアDNAも注入

                   →2種類のミトコンドリアDNAを持つ受精卵の誕生

     c.受精方法
       自然受精か顕微受精か
       顕微受精の場合、「正常」でない精子利用の危険性が存在する。

       しかし、AIHを増やすことは可能になり、結果として不妊傾向を有する遺伝子の淘汰を阻止することができる。

    *倫理的問題点

     a.精子、卵子の提供

       第三者からの提供 → 精子バンク、卵子バンクでの売買
       代理母の存在,契約問題; “ベビーM訴訟”で注目を浴びる

           host mother, surrogate motherの問題

       不妊治療かファッションか? → "デザイナーベビー"の作製
       遺伝性疾患児の排除問題

       産み分け  → 男か女か

       血縁,家族とは?

     b.凍結受精卵問題・・・利用と廃棄(ES細胞の材料提供)

        c.減数手術の問題

 3−4. 出生前診断

      妊婦の血液検査……トリプルマーカー、ダブルマーカー、胎児赤血球検査

        羊水検査、子宮内絨毛検査

        着床前診断
          未受精卵あるいは受精卵の染色体や遺伝子検査を検査
          
    *倫理的問題点

     a.障害とはなにか、正常とはなにか
      b."cost−benefit"の概念

3−5. 日本政府の対応

3種類の対応方法; 法規制、ガイドライン(運用指針)、自主規制

遺伝子研究 → ガイドライン

クローン・ES細胞研究等の胚を対象とした研究 → 立法による規制

生殖補助技術 → 日本産科婦人科学会による自主規制