2002年度新入生より新カリキュラムが名古屋校舎において実施されました。これに伴い、語学担当者会議において基本的な授業方針が下記のように決定されました。学生の皆さんは、よく読んで、授業に取り組んでください。 新カリキュラムの内容 【名称について】
【第二外国語のカリキュラム内容】
第二外国語の授業における基本方針 【グレード制の導入と再履修クラスの設置】
【「入門」「基礎」における統一教科書の使用と統一試験の実施について】
【「応用」「発展」の授業について】
以上の改革につき、毎年その内容を検討し、不備な点については改められることになっています。履修にあたっては、以上の点をよく注意して、授業に参加してください。 |
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新しい外国語を学ぶことはすばらしいことです。私たちの周囲ではいま「国際社会」「国際化」などといった言葉をしばしば耳にします。日本とドイツを考えてみた場合に、もしそれぞれの国民が相手の言語を知らなければ、その間には意志の疎通を妨げる言語の厚い障壁が立ち塞がっています。しかし、私たちが相手の言葉をひとつずつ覚え、口で発することによって、この障壁の一つ一つのブロックを崩し、相手との交流の窓を開いていくことになります。 街を歩いていて、見知らぬ外国人がたとえたどたどしい日本語であっても、「こんにちは!」と話し掛けてくれば、私たちは心を開いてその外国人に手を貸してあげようという気持ちになるはずです。同じように、私たちがたとえばドイツに旅行したときに、Guten Tag!(「こんにちは!」にあたるドイツ語で、発音は「グーテン・ターク」)と一言挨拶ができれば、それだけで話しかけられたドイツ人の心に、道に迷っている私たちに親切にしてあげようという気持ちが湧いてくるにちがいありません。 ドイツ語の単語の一つ一つが私たちの口から音となって発せられるごとに、相手との心の交流のチャネルが広がっていきます。国外へ旅行する若い人々、特に大学生の数は年々増加しています。学習した外国語を実際の場面で活用する機会にそれだけ恵まれていると言うことができます。文字を通して外国語を覚え、外国の書物・文献を読む、といった外国語の学びかたもあります。しかし、外国語を学ぶ喜びは、覚えた単語のひとつひとつ、表現のひとつひとつを音として発し、耳を通して相手の言葉を聞き取り、お互いに意志を通じ合うことにあります。 外国語への関心は、決して言葉そのものの理解にとどまるものではありません。言葉は、むしろそれを話す人々の生活、文化、歴史、社会などへの関心と理解を深める「通路」にほかなりません。私たちはドイツ語を学ぶことによって、ドイツという国と国民を理解するための「通路」を切り開くことができるのです。別の言い方をするなら、言葉とはその国とそこに生きる人々の生活、文化、社会、歴史の凝縮体であると言っても過言ではないでしょう。 どうか、外国語をそのような視点から根気よく学んでください。 2 外国語を学ぶ目標 ドイツ語はもちろんですが、およそ外国語を学ぶにあたって、小さな目標を立てることが大切です。私たちはともすれば、この目標を設定しないまま外国語という広大な海に乗り出し、いつ果てるとも知れない漂流を続け、あげくの果ては、力尽きて言語の海に沈没してしまう、といった徒労感を経験したことがあるはずです。外国語を学ぶときには、小さな目標を立て、ひとつひとつその目標を達成して、次のステップに向かうべきです。 たとえば、いつか(卒業旅行でも、新婚旅行でも、傷心旅行、冒険旅行、チャンスはいろいろあるでしょう)ドイツへ1週間ほどの旅行をしたいと思っている人は、その旅行に必要なドイツ語のコミュニケーション能力をまず身につけるために、自分で旅行計画を立て、旅行のシミュレーションをして、その中で必要となる言葉を練習することです。この場合にも、「空港での会話」、「駅での会話」、「レストランでの会話」、「ホテルでの会話」などなどと小さな場面を考え、目標をさらに小さなステップに分けることが大切です。そうすれば、それらのステップでどんな単語・基本的な表現が必要になるかは、ドイツ語を学ぶ前にすでに十分想像できるはずです。 3 外国語の学習方法−文字より音で− 私たちが外国語を学ぶときに、ともすれば文法完全主義の罠に陥りがちです。つまり、文法的に間違いのない言葉で話したり書いたりできなければと思い、結局はせっかく覚えた言葉を使えないまま終わってしまうことが往々にあります。文法の規則を覚えることは、外国語を自分のものとして使えるようにするために、無駄だと言っているのではけっしてありません。しかし、初めのうちは文法的に正しいかどうかということよりも、基本的な単語・語句・表現を繰り返し口にして覚えることの方がはるかに大切ですし、また楽しいものです。しかも、これだったらほんの片時でも練習できますし、わざわざ机に向かって下調べなどという必要もありません。できれば、テクストを繰り返し音読し、まるまる覚えてしまうことです。 人間は音声的な記憶(音と一体になった記憶)の方が視覚的な記憶(この場合には、文字と結びついた記憶)よりも持続性があるのではないかと、素人ながら信じています。子どもの頃に覚えた歌も、歌詞はところどころ忘れてしまっているのに、メロディーの方は正確に覚えているという経験はありませんか。たとえば、「ビブリオテーク」(図書館)という単語を音で覚えるのとつづりBibliothekで覚えるのとでは、どちらが覚えやすく、記憶に残るかと言えば、もちろん前者だと断言できます。しかも、この方が短時間に、しかも道具といえば舌と口だけできるのですから。 外国語の学習には、舌と口を存分に活用して、楽しく、短時間でいいですから、繰り返し練習してください。これも実験的に確認できることですが、正しい発音で覚えた言葉を文字で書けるようにするには、それほど大した苦労は必要ではありません。むしろ文字で覚えた言葉を、後になって正しく発音できるようにすることの方がずっと大変なことです。 |
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愛知大学《Goken News》No. 1 1999年3月発行 |
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日本語とドイツ語を比較してその相違点・類似点を考えるというのは、言ってみればサカナとヒトとを比較してその相違点・類似点を考えるというほど大胆なことです(わたしはもちろん、日本語はサカナで、ドイツ語はヒトだ、などと言っているのではありませんが)従って、ここではわたしたち日本人がドイツ語を学ぶにあたって、この一点のみを心がければ、たとえ文法的に多少問題があっても、相手に自分の意志を伝達するドイツ語を口にすることができる、というところを簡潔に説明することにします。
例えば、「今日/ガービーは/6時まで/図書館で/勉強します。」という意味内容をドイツ語で表現したい場合に、まず/で区切った語句(文の成分)を日本語(J 1)とドイツ語(G 1)を並置してみますと、次のようになります。(G 2文は正しいドイツ語文です。)
「6時まで」(bis 6 Uhr)、「図書館で」(in der Bibliothek)など、前置詞bis(「まで」)、in(「……で」)と名詞の結びつきについては、この場合無視することにします。すると、日本語文の意味内容の伝達という点について言うならば、このG 1文(本当はまだ文ではなく、ただJ1文にならって語句を並べたに過ぎません)は、ほとんど100%に近い伝達度を達成しています。つまり、伝達したい意味内容をそのまま(語句の順位を変えないで)ドイツ語語句として表わせば、わたしたちのドイツ語文は(文法的に多少問題があるとしても)、コミュニケーションと言う点では十分に機能を果たしてくれるわけです。G2が正しいドイツ語文ですが、G1との違いは、文末にあったarbeiten(「勉強する」)が文の成分の2番目の位置に移動して、3人称単数形のarbeitetに変化している点にあります。しかし、意味内容の伝達という点から見た場合には、G1文とG2文とはほんの5%かそこいらの伝達度の違いしかありません。 同じような例を挙げてみましょう。
J2文とG1文の文の成分の順位はまったく同じです。G1文と正しいドイツ語文であるG2文とは、最初の例のarbeitenと同じように、わずかにG1文の文末にあった助動詞wollen(「……するつもりである」)が、G2では文の成分の2番目の位置に移動し、1人称単数形のwillに変化しているのが唯一の違いです。 極端な言い方になりますが、日本語文J1文あるいはJ2文の最後には置かれる動詞(あるいは助動詞)が、正しいドイツ語文G2文の場合には文の成分の二番目に人称変化して移動するというのが、文の構造上の最も重要な相違点です。ただし、度々指摘したように意味内容の伝達度ということだけを考えるならば、G1文とG2文(つまり、日本語的ドイツ語文G1文と正しいドイツ語文G2文)にはわずかな違いしかありません。そして、この違いを埋めるのが文法規則である、と言うことができます。 わたしたちはどんな言語でも(たとえ文法的には多少問題があるとしても)実際に使って、相手に自分の意志を伝達することに限りない喜びを感じます。授業ではこの点を特に心がけて、ドイツ語を楽しく学んでください。 (ドイツ語担当 竹中克英) |
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自分の学習レベルを確認するために
「外国語の学び方(ドイツ語)」でも書きましたが、外国語の学習においては、明確な目標をもって、一歩ずつ確実に進んでいくことが大切です。その場合に、自分の学習レベルをたえず確認することが重要です。その確認方法にはいろいろありますが、財団法人ドイツ語学文学振興会が主催するドイツ語検定試験、いわゆる「独検」(Diplom Deutsch in Japan)の受験は、もっとも適切であると思います。これまで愛知大学名古屋校舎からは毎年50名前後の学生が受験をしています。合格率は年々少しずつ高まってきていますが、1997年度4級合格率は約20%です。自分のドイツ語能力が現在どのレベルにあるのか、どのような学習を今後すれば良いのか、などを確認するためにも、みなさんもぜひ受験して下さい。 ドイツ語検定試験「独検」について 「独検」は、財団法人ドイツ語学文学振興会が主催して、毎年春・秋に行われます。受験要綱は、生協あるいは外国語研究室にありますから、詳しくは要綱を見て下さい。ここでは、その概要について紹介します。
それぞれのレベルをもう少し具体的に説明しますと、1級は通訳などドイツ語能力を活かした職業を希望する人々のレベル、2級はドイツの大学などに留学しようとしている人々のレベル、3級はドイツで日常生活を送るのに困らない程度のレベル、4級はドイツへ短期間旅行をしたり、あるいは語学研修に参加しようとしている人々のレベル、と言えます。愛知大学のドイツ語授業では、1年生履修のドイツ語入門・基礎で4級、ドイツ語応用で3級レベルの能力の養成を目的としています。 試験内容は、3級・4級は筆記課題のほかに、簡単な聞き取り(一部書き取りを含む)課題が課されます。1・2級は一次試験と二次試験に分かれています。一次試験では、それぞれ筆記と聞き取り・書き取りについて比較的高度な課題が課されます。一次試験合格者には二次試験が実施され、ドイツ語を母語とする人と日本人によって、1級は約10分、2級は5分の面接方式の試験が行われます。 受験申し込みなど具体的な手続方法については要綱を参照するか、生協に尋ねて下さい。試験会場は東海地方では南山大学(名古屋)となっています。そのほか詳しい情報については独検ホームページ(http://www.dokken.or.jp/)を参照してください。 ドイツ語認定試験について 「独検」のほかに、ゲーテ・インスティトゥートによるドイツ語認定試験(Zertifikat Detusch als Fremdsprache)が実施されています。試験会場は限られていますが、受験希望のみなさんは詳細については「東京ドイツ文化センター(ゲーテ・インスティトゥート)」(〒107東京都港区赤坂7−5−56東京ドイツ文化会館 03−3584−3267)に是非お尋ねください。ゲーテ・インスティトゥートはドイツでもっとも信頼されている外国人のためのドイツ語教育を行う機関です。参考までに、京都・大阪の「関西ドイツ文化センター(ゲーテ・インスティトゥート)の連絡先を紹介しておきます。 京 都 :606-8305 京都市左京区吉田河原町19-3 大 阪 :531-6065 大阪市北区大淀中1-1-93-500、 |