伊藤千夏 |
「雲南省西双版納の![]() ![]() ![]() |
タイ族の住居の変化について、家屋構造や建材など建築物としての特徴と、家屋や屋敷空間が家族によってどのように使われているか、という2つの視点から住生活の変化の状況を明らかにし、変化の過程やその要因を分析した。近年の経済水準の向上が新建材を使用した耐久性のある家屋をもたらし、新築がブームとなっているが、基本的な間取りはほとんど変化がなく、気候や生活習慣にあった伝統的な住生活が根強いことを明らかにした。また家屋の間取り図や、全家屋を構造や建材から分類してそれぞれの建築時期を推定した小組の概略図などが、緻密で効果的に用いられている。
“2001年度愛知大學現代中国学会努力賞”受賞 |
奥村友梨 |
「タイ族における“上門”について―中国雲南省西双版納州![]() ![]() ![]() |
タイ族社会では、伝統的に結婚後は「上門」(妻方居住)を行なう習慣があった。しかしかつて夫は終生、妻方居住で、子供も妻方の一族に所属する時代があったとされながら、現在では夫方居住が増えているという。本論では、伝統的な専業水稲耕作農家が多い曼緬と沿線沿いにあって副業も盛んに行なわれている曼剛の2つの小組における「上門」の多様な状況を分析した。現在の「上門」は3年未満がほとんどで、双方の労働力の状況にあわせて期間や形式を柔軟に変えていることや、後者の組では変化の開始がやや早いが、形式だけではあってもなお「上門」の伝統が維持されていることを明らかにした。 |
讃井涼一 |
「中国武術」 |
著者は、中国武術・呉氏孟村八極拳を数年来学んでおり、八極拳発祥の地である河北省滄州孟村を訪れ、南京では一年間の武術留学を行なった。それらの経験をもとに「中国武術は、中国ではその徹底した秘密主義のために研究が不十分であり、日本では普及者のカルト的傾向のために人々の誤解と偏見をうけている」という現状を憂慮し、中国武術に関する公開された知識を整理して知っておくべき基礎知識をまとめ、これからの中国武術がいかにあるべきかを考察した。また第2章歴史では「歴代の為政者は武術が武力集団へと発展して抵抗勢力となることを恐れて弾圧政策をとったこと、そのため一子相伝の秘密主義が徹底された」として事例をあげて説明しており、興味ぶかい。 |
肥田千奈 |
「中国少数民族の教育について―雲南民族学院を事例として」 |
筆者は2000年夏に実施したゼミのナシ族調査と雲南民族学院での半年間の留学での体験をきっかけとして、中国の少数民族、特に農村部の子供たちにはどのような教育の機会が与えられているのか、少数民族の高等教育機関である民族学院に通う学生とはどのような人々なのかについて雲南省を事例に分析し、少数民族の教育についての問題点、今後のあるべき姿などを考察した。論文では、前半は文献資料にもとづいて雲南省における少数民族教育の現状を就学状況や2言語教育などの授業法などから分析し、後半は2001年11月に雲南民族学院で学生たちに対して行なったアンケート結果をもとに、彼らの学生生活や家庭環境、経済状況、進学の目的と将来の希望などの項目から彼らの実像を明らかにしようとした。 |
卒論一覧メニューページへ |