卒論一覧・2002年度
若園千沙子
「冷凍食品メーカーの中国進出動向と今後の課題」
 日本の冷凍食品メーカーの対中国戦略を主に「加ト吉」や「龍鳳」の成功例を通して分析し、徹底した市場調査と販売戦略が今後の鍵となるとする。最新の日文、中文の資料を収集し、中国人の収支や生活時間の現状、南京のスーパーの状況など消費者側からの視点もおもしろい。
大山江利子
「スターバックスを通してみるアメリカ、日本、イギリス、中国の文化比較」
 世界の各地に進出するスターバックスが、各国の嗜好にあわせたメニューや販売方式を採用していること、そこにそれぞれの文化が反映されているとし、実地に出向くことで体感的に分析を進める。スターバックスが日本ではまたたくまに普及したのに対して、ヨーロッパではほとんどイギリスのみであるという報告は、日本人における異文化受容を考えるうえで興味深い。
森岡智代
「ハニ族の村と家屋にまつわる信仰と行事−雲南省紅河州元陽県口村、大魚塘村、多依樹村」
 2002年8月のゼミ実地調査にもとづくもの。ハニ族の信仰の特徴を村の空間的配置や家屋の構造と神々の置かれた場所、儀式からさぐろうとした。建築中の家屋に出会うことができ、工程や儀式の聞き取りができた。図表、写真ともすべて実地で得た独自のものであり、資料的価値がある。
肥本千恵子
「『三国演義』の成立と日本における普及について」
 成都での留学経験から、中国と日本における『三国演義』の普及、読まれ方について考察。好む人物と理由というテーマで複数の読者に聞き取り調査を実施し、中国・成都では諸葛亮や関羽、曹操に集中するのに対して、日本では様々な人物名があげられ、映像や漫画、多数の翻訳書などを通して多様な読まれ方をしていることを指摘。
後藤朝子
「ハニ族の女性と民族衣装」
 2002年8月のゼミ実地調査に基づく。元陽県では女性と老人は日常的にも民族衣装で生活しており、衣装の制作も原則として女性が行う。民族のアイデンティティーを表す服飾文化にどのような決まり事があり、次世代にどのように伝えられているのか考察し、民俗村に指定されたことが伝統の維持に助けとなっていることを指摘。
 高橋洋子
「タイ族の食と生活」
 2001年8月のゼミ実地調査に基づく。最も早く稲作を開始した民俗とされるタイ族において、食生活にどのような特徴があるのか、毎日の食生活についての聞き取りから主食、副食、調味料、保存食、日常食とハレの日の食事、農閑期と農繁期などの項目に沿って分析。もち米飯、独特の生ミンチ、唐辛子や韮などを調合した調味料などの作り方や食べ方、仏教と結びついた行事のなかでの食を実際に体験。
井上千枝
「タイ族の宗教活動−雲南省西双版納タイ族自治州曼海県曼遮郷曼剛寨と曼混郷曼蚌寨の事例をもとに」
 2001年8月のゼミ実地調査にもとづく。タイ族は現在でも、男性は小学生の頃に寺院に入って修行し還俗する習慣があり、還俗した者の中から選ばれた「布章」「召曼」は寨内の様々な宗教活動をしきる。寨ごとにほぼある仏教寺院は、日常の宗教活動の中心であり、土着の精霊信仰もみられた。曼剛寨ではたまたま「死者のための佛」の儀式にあい、式の様子が詳細に報告されている。
上原久美子
「タイ族の文身について」
 2001年8月のゼミ実地調査に基づく。タイ族にとって、かつて文身は一人前のタイ族であることを示す重要なものであった。しかし「漢化」によってその価値観は否定され、現在では30代後半より下の年齢の者はほとんど行わない。聞き取り調査によって年齢別、男女別の事例とその意識を調べ、筆者の故郷である琉球の「ハジチ(針突)」と比較した。
工藤文吾
「中国のビール文化」
 世界の巨大市場といわれる中国においてビールの普及は都市、農村をとわずめざましく、伝統の白酒にせまろうとしている。中国のビール市場の現状やサントリーの戦略を分析し、さらに2002年8月のゼミ実地調査で見聞したハニ族の酒文化についてもふれる。実地調査した村ではすでに家庭での酒造りをしておらず、比較的安価で」入手できる白酒が普及していた。
村田義典
「『三国演義』の成立と日本における普及について」
 筆者は自身がギター演奏家をめざしていたこともあり、社会主義中国の音楽に強い興味を持っていた。中国音楽をまず年代別に60年代、文化大革命期、70,80年代、90年代以降に分けて分析し、香港や台湾の音楽が本土に与えた影響、崔健やテレサ・テンについてもふれた。中国では各時代の政治的環境が音楽に強い制限をあたえてきたこと、換言すれば、音楽には時代背景が強く反映されていることを再確認した。
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注)一部中国語表記の為、文字を画像として表示してありますので読み難くなっておりますが御了承下さい。