卒論一覧・2004年度
稲垣早映
「現代中国の喫茶事情」
 伝統的なお茶や茶館だけでなく、コーヒーやペットボトルが急速に普及し始めた現代中国の喫茶事情の変化について、留学中の体験と中国の友人たちへのアンケート、既述の資料を用いて分析し、飲文化における伝統の変化の諸相や背景を考察した。テーマがタイムリーであり、各地の茶館の現況が筆者の写真によって紹介されている。
佐藤典子
「トン族の婚姻習俗」(2004年1月のゼミ調査)
 文献資料によって、トン族の婚姻習俗が、漢化の進んだ北部方言集団と「不落夫家」や夜中に嫁入りが行われるなど伝統的な習俗を維持する南部方言集団とに大別されることを整理し、実地調査地の紀堂村での聞き取り調査によって南部地域の典型的な事例を報告した。同村では大晦日の夜に嫁入りが行われ、半年の「不落夫家」を経た6月6日に同居が始まるなどを特色があることがわかった。
江尻高志
「苗族の服飾に関する調査と考察」(2004年1月のゼミ調査)
 黒ミャオ族のパシャ村の家庭で、彼らの衣生活について、現在も日常着として着用されている民族衣装の特色や着用することの意味、藍染や刺繍の技術などの聞き取り調査を行い、民族衣装を色彩学的に分析した。パシャ村の民族衣装の特徴は、藍染の黒を貴重として青、桃、緑色等が配色された菱形模様に最も良く表れているとした。また色彩にもつイメージについて住民に聞き取りアンケートも行い、日本人の感覚と比較した。
星岡雅治
「トン族・ミャオ族の建築様式」(2004年1月のゼミ調査)
 高床式住居に興味をもっていた筆者は、トン族やミャオ族の住居が温暖で湿気の多い貴州省の地形に適した2〜3階建てで、斜面を上手く利用した高床型であることを実地の測量や聞き取り調査から詳細に報告した。また優れた木造の建築技術をもつトン族が独特の「鼓楼」や「風雨橋」を作りあげたことを実地の建築物によって紹介した。
高濱友宏
「貴州省の少数民族の「食」と日本の「食」」(2004年1月のゼミ調査)
 スイ族、トン族、ミャオ族のケ(日常)とハレの日の食生活を家庭訪問によって聞き取り調査し、実際に体験した「食」を通じて各民族の食の特徴を分析した。また伝統的な保存食品であるナレズシをとりあげて、これがともに照葉樹林文化帯に属する貴州省と日本の共通点であり、かつ異なる点もあることを指摘した。さらに現在の日本の「食」の問題点を自給自足的で健康的な貴州省少数民族の食との比較から論じた。
粕谷美紀
「朝鮮族の民族意識」
 中国における朝鮮族の強い民族意識がどこからくるものなのかを「アイデンティティ」をキーワードに考察した。文献資料によって朝鮮族の移住の歴史や「伝統」の維持について整理し、特に教育水準や経済状況などから中国社会への適応を分析した。また80年代以降の政府の民族優遇政策や双語教育、韓国企業の進出が彼らに及ぼした影響に注目した。
久保田賢謙
「スイ族、トン族、ミャオ族の食と生業」(2004年1月のゼミ調査)
 貴州省の3つの民族の村の家庭を訪れて、農民の家族構成や生業について丹念な聞き取り調査を行った。照葉樹林帯をキーワードとして、3民族の間には同様の自然条件や農作物から農業を中心とした経済状態や「食」に共通点がある一方で、副業に違いがみられることを指摘した。写真や図が現況をよく伝えている
榊原なぎさ
「貴州省のスイ族・トン族・ミャオ族の「住」生活」(2004年1月のゼミ調査)
 スイ、トン、ミャオの各民族の典型的な住居をとりあげて、家族構成をふまえて住居の間取りや機能について分析した。また市場経済化や村の観光地化による現金収入の増加や村の景観の変化が彼らの生活に及ぼす影響について、住生活の視点から考察した。間取り図や写真が効果的に用いられている。
吉田幸史
「トン族、ミャオ族の暮らしを支える大工さんたち」(2004年1月のゼミ調査)
 トン族とミャオ族はともに雲貴高原に隣接して居住しながら、建築技術にかなりの違いがみられる。本論は、卓越した建築技術をもち、専門職化して独特の鼓楼や風雨橋を建てるトン族の大工さんと、専門化にいたっていないミャオ族の大工さんにそれぞれインタビューを試み、会話形式と写真でその有り様を活き活きと記録した。
森川真由子
「コミュニケーション能力を伸ばす教育」
 本論は、電話という媒介コミュニケーションと対話による直接コミュニケーションの現況と問題点を、アルバイト先のコールセンターと教育実習校の事例を通して分析し、コミュニケーション能力をのばすために考案された複数の方法を紹介して、現代人のコミュニケーション力を育てるためには何が重要であり、どうすべきか、考察した。
鬼頭静絵
「厦門市の都市部と農村部における生活水準と意識」
 経済特区として著しい経済発展をとげている厦門市の都市部と農村武を事例として、両者の生活水準を2002年の収入と支出、耐久消費財の普及状況、教育水準、社会保障などの項目についての聞き取り調査から分析し、特に近郊農村における都市化と農民の生活意識の変化を指摘した。
小池めぐみ
「中国語教育と学習」
 日本の中国語教育について東亜同文書院を含めた戦前からの中国語教育史を整理し、現在の中国語学習について教育実習校での本人の経験、高校生と現代中国学部学生へのアンケート、出身地である大垣市の国際交流センターでの生涯教育の現状を分析して、日本における中国語教育が果たしてきた役割と問題点、今後の課題について考察し、さらにこれからの自分自身と中国との関わりを考えて今後のライフプランを作成した。
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注)一部中国語表記の為、文字を画像として表示してありますので読み難くなっておりますが御了承下さい。