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現プロ便り--現プロを終えて

引率者 劉 柏林 

  6月26日の午前中、現地プログラムの総仕上げとなる文化講座発表会が行われ、参加学生の全員が演技や発表を行った。京劇、横笛、二胡、武術、指圧、民 歌、漫才、コント、民族踊りを習った学生は舞台に上がってそれぞれの勉強成果を演じて見せ、中国絵、書道、中国伝統手芸を習った学生は発表会の前に自分の 代表作を手にして写真に撮っておいたものを、会場のスクリーンに映し出して来場者の目を楽しませた。どちらにしても出場者の顔にはみな自分の習った技を披 露しようという真剣さがあふれていた。
 


按摩で先生たちを慰労する


中国語の漫才

                   
 京劇の出演者は指導の先生が借りてきて下さった京劇の衣装を身に着けての登場である。そうして歌う歌はリズミカルで伴奏の京胡の調子にぴったり合っていて、その仕草はプロ並みのものがあった。
 




 

民族舞踊班の皆さんも京劇班に負けずに新疆ウイグル族の赤い民族衣装を身にまとい、優美な曲のリズムに乗ってなかなか見事な踊りを見せてくれた。こうした 学生のパフォーマンスをご覧になった南開大学と天津技科大の関係者からは「愛大生は、たった4ヵ月間だけの訓練なのにここまでマスターして本当に素晴らし い」と賞賛をいただいた。


新疆ウイグル族の踊り

午後には第13期現地プログラムの終了式が行われた。関係責任者からの講評があった後、今回の現地プログラムの期間中、すべての科目の授業に一度も欠席のなかった19名の学生と、中国語の授業に皆勤した58名の学生にそれぞれ皆勤賞の賞状と記念品が授与された。


皆勤賞の授賞者

 今回の現地プログラムのメインテーマは人生の体験である。参加した学生は今まで出会ったことのない大陸の乾燥した空気、骨まで刺すような冷たい風、雪、 濃霧、さらに黄砂などを、否応なしに体験させられた。知らぬ間に身体を包んでくれていたふるさとの空気の外に出て、生きるのに必要な一つ一つを自分で見出 してゆくこうした体験は、学生たちにとって、貴重な意味を持つにちがいない。これからの人生を本当に自分の人生とすることができる力の一つ一つがそこから も必ず生まれると思う。現プロに参加することによって学生たちは少なくとも以下のような収穫が得られたと言えよう。

① 集団生活に適応するための自分のコントロールと工夫する力。
②自然環境の厳しさを実感しそれに順応できたこと。      
③日本を離れて親と日本のよさが分かったこと。自立の意味を知ったこと。 
④困難に乗り越える勇気を持つようになったこと。
⑤習った中国語を現地で生かし、中国を自分の認識として知ることができたこと。
⑥視野が格段に広くなり、国際感覚が実際的にできたこと。                                     

 学生たちは大学主催の天津郊外の武清区の郷鎮企業と宝抵区の農家を訪問して仕事をし生活をする人々を実地で見た。その外に、上海万博を始め中国国内の参 観として北京、上海、内蒙古、大同、西安、泰山、大連などへ旅行した。上海万博へ行った学生は120数名で2回にわたり入場見学をした学生も5人いた。 
 
 6月29日の午前、南開大学と天津技科大の諸先生方、語学パートナーに別れを告げ、天津空港でJAL機に乗りこみ、全員無事に中部国際空港に戻ってきた。そして2010年度の現地プログラムは幕を閉じた。
 
 現地プロでの貴重な体験によって、学生たちの人生が豊かになることにまちがいはない。引率者にとっても貴重な体験でもある。引率者は学生たちの先生でも あり、現地の親でもあり、よい友でもある。200名近くの学生と毎日一緒に食事をし、一緒に宿泊し、一緒に卓球もしたりして、教員と学生との距離が確実に 近くなり、引率者としての人生も豊かになった実感がわいてくる。