―現代中国学部の開設にあたって―
現代は若者たちが未来に夢を託すことのできない時代だと言われます。しかし、いつの世も時代を変革する役割を担ったのは、夢を追い求める若者たちでした。この点で大学は元来、学生諸君に自由な読書や学問の楽しみを教え、未来の夢をはぐくむ場としてあった筈です。
現代中国学部はこうした本来の大学の役割に立ち戻って、学生諸君に大きな夢を与えることを目指し設立されたものです。
現代が、青年の時代変革のエネルギーを必要としていないなら話は別です。21世紀は環境問題や人口問題、食糧問題などが地球規模で爆発する時代と言われ、この点で次代を担う青年の果たす役割は大きいのです。
日本は21世紀を隣国、中国とともに手を携えて歩まねばなりません。人類が抱える上述の難題の多くは、日中両国が未来にいかなる選択をするかによって左右されます。日中関係は確かに現在は良好な関係にあります。
しかし今後ともこの良好な関係を維持し得るか、楽観は許されないのが実情です。戦争責任問題が事あるたびに浮上し、しばしばなされる閣僚の不用意な発言に中国国民が強く反発していること、その反面、中国の核実験は、世界唯一の被爆国民である日本国民の反発を買っていること・・などをあげるだけでもこの点理解し得るはずです。
より深刻な問題は日中の相互理解が必ずしも十分でないことです。同じ皮膚の色を持ち、同じ漢字を用いていることをもって、相互理解が容易と考えるなら、それは大きな誤りです。この点は日本人学生の中国留学の実態に現れています。
近年、中国への留学生数が急増しつつあるとはいえ、その大半は依然、中国語習得を目的とするにとどまっています。これに比べ欧米留学の場合は、その大半が学問やキャリア取得を目的としており好対照をなします。
明らかに中国留学は欧米留学に比べランクの低いものとみなされているのです。同様のことは中国人学生にも言えます。
中国人学生の間で一番ランクが高いのは米国留学で、二番目が英仏独の留学、日本留学はカナダ、オーストラリアと並ぶかそれ以下のランクにあるとされます。
学問文化面での欧米中心主義が日中両国の青年層に根強いことがわかります。ここに日中両国の相互理解の落とし穴を見ることもできましょう。
現代中国学部はこの現状の打破を目指します。21世紀の日中関係を平和に満ちた実り豊かなものに発展させるため、有為の人材の養成が今日ほど求められる時代はないとの認識に立って現代中国学部は、多くの創意工夫による画期的なカリキュラムを編成し発足しました。
現代中国学部に参集してくれた学生諸君の一人一人が、明日の平和な世紀を切り開くためのこの学部の夢に積極的に参画する意思をもって、新しいキャンパス生活を送ってくれることを強く期待します。